図説 プロイセンの歴史―伝説からの解放



図説 プロイセンの歴史―伝説からの解放
図説 プロイセンの歴史―伝説からの解放

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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望んでもいない“栄光”に包まれ消えてしまった国家

プロイセン(最近まで英語読みでプロシア)王国は“ドイツ・プロイセン”と、「ドイツ」と抱き合わせでしか述べられず軍国的な負のイメージが多い印象ですが、意外にも宗教に寛容で文化的(国家に義務を果たせばという条件つきにせよ)自由な社会だったとは興味深いです。プロイセン王としては支配地の人口を増やし豊かにしたいという下心があったにせよ宗教による迫害にさらされた他国の農民を自国に受け入れ住まわせる政策をとっていたのは驚きでしたし、それが故に後年近代から第二次大戦まで活躍する著名な軍人で先祖は必ずしもドイツ人ではない人が多いのも納得できました。

政治家ではなんといっても世界史における“巨人”ビスマルクですが日本では国家外交を論ずる知識人は「ビスマルクの目標はドイツの統一であり、彼の行った政策・外交はすべて統一の為であったが故に成功した」と手放しで賞賛しておりますが、この本を読めばそれがいかに結果からしか歴史を見ないあまりにも底の浅い評価だと知れます。

たまたま国家を構成する民族の大部分がドイツ人であったために、また東や南の隣国が当時強力で巨大な帝国だったために、弱小なドイツ領邦を支配征服する大義名分に「ドイツ統一」を掲げ大成功し過ぎたがために消えていかざるを得なかった国家・・・・・

この本は非常に知的な刺激を与えてくれます。

軍事大国の意外な一面を示唆する内容

 プロイセンと言う国は、実は自由な環境であったと言うことを著者が訴えたいことが伝わってくる作品です。
 現在の我々の世界とは違い、どんな宗教(というより、同じキリスト教でも、宗派の違い)を信仰していたかで、社会的な差別を受けていた時代では、プロイセンの伝統とも言える宗教的寛容が、一時代に大きな影響を与えたことを、この本から感じ取れます。
 ただ、通史的な面があり、プロイセンの歴史に大きく影響を与えた人々(フリードリヒ大王、ナポレオン戦争時代の開明的な軍人、ビスマルク、モルトケ等々)について、深く知りたいのなら、別の本をお奨めします。逆に、それほど、日本では有名でない人達のことにも、しっかりと触れていますので、プロイセン全体の歴史に関心のある方は、ご一読してもらいたい本だと思います。
プロイセン興隆の秘密を解き明かす

 プロイセンと言えば、明治憲法体制の模範になったこともあり、よかれ悪しかれ、我々日本人にも親しみのある存在です。そしてその一般的なイメージとしては、ユンカーが支配する軍国主義的国家ということになろうと思います。
 しかし、我々はこの国の本当の姿をどれほど理解しているのでしょうか。プロイセン王国の成立は近々1701年のこと。この新興の中流国家が帝国の後継者たるオーストリアを尻目に「ドイツ統一」と呼ばれる政治プロセスの原動力となったのは、それから僅か170年後のことです。何故そんなことが可能となったのでしょうか。また、この国につきまとう軍事国家の面影は、どういった過程で生成・定着したのでしょうか。
 筆者は、プロイセンは歴史的な偶然によって生を受けた、人工的かつ雑然とした混ざり物の如き存在として捉え、そうした危うい構造物であったが故に、国家生存のための本能たる「国家理性」が「プロイセン・プログラム」とも言うべき国家目標を導き、ひいては軍事偏重の官僚主義的な統治制度と、驚くほど自由・寛容な社会支配体制を生み出したとしています。本書では従来低い評価に甘んじてきたフリードリヒ1世(3世侯)やフリードリヒ・ヴィルヘルム2世の治績に対し、極めて高い点を与えていますが、これもこうした考え方に立ったものとして興味深く読みました。
 また、ビスマルクは普仏戦争後に成立したゲルマン国家連合に何故敢えて「ドイツ帝国」の名を冠したのか、そもそも「統一」に際してバイエルンなどに高い独立性を保障したのは何故なのかなど、筆者の独創性に満ちた分析は読者を魅了するに十分です。
 筆者の主張に賛成するか否かは別として、読んでいて知的興奮を禁じえない一冊です。
軍国プロイセンへの適応過程を明らかに

プロイセンの軍国主義がナチズムを生んだ ― 果たしてそれは事実なのだろうか。反ナチス闘争に立ち上がった人たちの中にしばしばプロイセンの背骨を担った家系の人たちの名が見出せるのはどう説明をつけるべきなのだろう。

この本は歴史の偶然を自らの意思で必然に変えていった奇妙な人工国家プロイセンの歴史を描く。理性主義と合理主義によって立った国家プロイセンがいかにして、あらゆるドイツ諸邦を下してドイツ統一を成し遂げたか、成し遂げなければならなかったかを明らかにしてくれる。



東洋書林
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